2026年7月6日

  間が空いてしまった。

 去年からの日刊連載もそうだが、今年に入ってからもこれまでやってこなかったような仕事を立て続けに行っている。書評委員もそうだし、まだ発表になっていないいくつかの案件もそう。

 いまやっている仕事は納期が非常にタイトで、一日十枚ぐらいの勢いで書いている。ほんとうは一日四枚ぐらいに留めておくほうが自分としては好ましいのだが、そうも言っていられないので、長時間パソコンに向かい、尻凝りや肩凝りや眼精疲労に苦しめられている。正直なところ日記なんて書いている場合ではないのである。


 だけど、どうしてもこれだけは書いておかなくては、という事件が発生した。

 数年前までマンションで暮らしていたとき、トートバッグ型の不織布ケースを使い、コンポストをやっていた。当初はわりと自由になんでも面白がってぽいぽい投げ込んでいた。鶏肉の皮とか、ラーメンの汁とか、動物性のものもけっこう平気で投げ込んでいたが最初の一年ぐらいはなんともなかった。一度、魚のあらを大量に投下したときはとんでもないにおいが発生し、危うく異臭騒ぎを起こすところであった。くさやのにおいを嗅いだことはないのだが、おそらくああしたにおいなのだろう。

 二年目の夏だったろうか。ある日、バッグのなかを覗き込むと、大量のウジ虫が湧いていた。すぐさま蓋を閉じ、見なかったことにしてそのまま数ヶ月放置した。

 それですっかり心が折れてコンポストをやめてしまったのだが、この春、以前の倍近くある大きさのケースを購入して再開することにした。動物性のものを入れず、植物性のごみだけにしておけば虫が湧くこともないだろうと思っていたのだが、マンションのベランダと、一軒家の庭では条件がちがいすぎる。なにをどうしたって虫が寄ってくるのである。

 六月も半ばをすぎたころだろうか。なんとなくコンポストからいやなヴァイブスを感じるようになった私は、カルスnc-rを投入し、中身をかきまぜるのをやめた。カルスnc-rというのは微生物がいっぱい入ってる基材で、これさえ入れておけば好気性のコンポストでもそんなにかきまぜなくていいらしい。生ごみを投入し、カルスと米ぬかと籾殻を上からかぶせ、さらに土をかぶせてミルフィーユ状にしておけば、虫が発生することも少ないようだ。

 しかし、である。

 カルス投入以前からすでに卵を産みつけられていたようだ。私が購入したケースは背の高い筒型になっており、筒の下のほうにも口がついていて、ミルフィーユの下の層にある熟成済みの堆肥を取り出せるようになっている(※画像参照)。そこから堆肥を取り出してみたところ……虫が湧いているのである。うごうごと蠢いているのである。


 ぎゃー! である。

 最初こそ涙目だったものの、この子たちはただ気持ちが悪いだけでなにか悪さをするわけでもないようだし、むしろ生ごみの分解を促進してくれているのだと思ったら、まあ、いいか、という気になった。

 とはいえ、積極的に目にしたいものではないので、そっと蓋をし、なるべく見ないようにしていた。ミルフィーユ式のコンポストも、ときどきはかき混ぜたほうがいいらしいが、かきまぜたらあいつらがあがってきてしまうので、そのまま放置した。


 一方、すっかり暴徒と化した蟻たちの件である。アブラムシが駆逐されたことは報告済みであるが、今年、我が家の庭ではヨトウムシの被害もない。ナメクジも減ったようだ。まさか、とは思うが、そのまさかなのかもしれない。

 ――と思っていた矢先の出来事であった。

 雨の日に軒下にプランターを運んでいたら、コンポストの周辺に何匹かのウジ虫が落ちていた。どれも死んでいるようだ。

 なぜこんなところに? と不思議に思っていると、コンポストの容器を取り囲むように蟻が砂を盛っているではないか。よくよく見てみると、コンポストの下の口から、蟻がせっせと砂粒を運び出している。つまり、ウジ虫を運び出したのは蟻のしわざということ……?

 これにはさすがにぞっとした。

「ウジ虫を……食ってる……!」(CV.三石琴乃)である。


 翌日、再び様子を見に行ってみると、ウジ虫の死骸はきれいになくなっていた。

 私はいったいなにを生み出してしまったのだろう。


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