待ち会行ってきた!

オッス!オラ小説家になって19年目!待ち会がどんなものなのかまったく知らずにこれまできたけれど、ついこないだ体験したから報告するよ!!!

残念ながら山本周五郎賞は逃してしまいましたが、転んでもタダじゃ起きないあたしはカブトムシならぬ売文家。一銭にもならないブログだけど、そこにネタがあるなら書くしかないじゃない。


候補のお知らせがきたのは四月の頭。それから選考会までひと月半のあいだ、結果が気になって落ち着かない日々が続くのだろうなと勝手に想像していたのですが、私の場合、最初のうちこそふわふわしていたけれど、日が経つにつれそのことを意識しなくなっていった。ぶっちゃけ頭からすっかり抜け落ちていることもあったぐらいで、あ、これならぜんぜんへいき、この先またなにかの賞の候補になるようなことがあってもぜんぜんよゆうだな!と正直思ってしまいましたよね。つーわけで、いつでもノミネートお待ちしています💛💛💛

というか、ここひと月ほど、iCONZというLDHのオーディションにドハマりし、彼らのオーディション結果のほうが気になってしかたないほどだったので、気が紛れていたというのもあるかもしれない。


そんなかんじで迎えた選考会当日、待ち会には著者である私と講談社の担当氏二人、山本周五郎賞を主宰する新潮社の担当氏が緊急時の連絡係として参加した。コロナが流行する前まではいろんな出版社の担当編集者が集まって大人数で待つこともあったようだけど、今回はご時勢的なことをかんがみて最少人数で行うことに。

場所は新潮社近くのカフェ。到着したのは17時少し前。べろべろにならない程度ならお酒も飲んでいいとのことだったので、最初のうちはゆっくりちびちびやりながら、まったりと推し活の話などをしていた。四人中二人もヅカオタがいて、宝塚版ハイローについての話などをした記憶がある。

ニコ生の中継がはじまったのが17時半。そのあたりからみんなそわそわしはじめて、緊張が伝播していった。今年は例年とくらべて三島賞も山本賞も結果が出るまで時間がかかっていて、トイレに行くタイミングも難しくて、緊張が長引けば長引くほどだんだんとみんなの口が重くなっていくのがわかった。そのうち、画面の向こうに動きが見えはじめ、三島賞の選考委員である多和田葉子さんのリモート会見がはじまった。


新潮社の方から電話がかかってきたのが、19時になるちょっと前ぐらい。ちょうど三島賞を受賞した岡田利規さんの会見中だった(おめでとうございます!)。

その場にいた担当氏たちが、ぎゅっとこちらに集中するのがわかった。彼らにも伝わるように残念そうな声を出したほうがいいのか、悔しがっているような顔をしたほうがいいのかなどと考えながら、「残念ながら今回は……」という報告を聞いていた。

傍で見守っていた担当氏たちは、私の声のトーンがいつもと変わらないせいで、最後の最後までどっちなのかわからなかったようだ。「ちなみにどちらの作品が受賞されたんですか?」と先方に私が訊ねたときにはじめて落選を把握したようで、がっくりとうなだれるようなムーブを見せていた。今後のために、「受賞時」と「落選時」の声の出し方を練習しておこうと思う(もっとほかにすることがあるだろう)。


そこからは場所を移動して、ニコ動の生配信を見ながらシャンパンを開け、おいしいものをいっぱい食べた。コロナで長い自粛期間が続き、大勢で会食をすること自体ずいぶん久しぶりだったので、最後のほうはみんな「ちょうたのしい!」というテンションになっていて、それはそれでどうかと思うが、でもやっぱりごほうびみたいに楽しい夜であった。帰り際、「あー、思い出しちゃった。くやしいな」と講談社の担当氏がつぶやいていて、そんなふうにくやしがってくれる人がいることがうれしかった。


『余命一年、男をかう』のような一見ラブコメ風の、軽薄と受け取られかねない小説が賞の俎上にあがっただけでもすごいことだと思うので、私としてはくやしがる気持ちよりうれしいほうが勝ってしまっている。これからも臆さずに軽薄な小説を書いていこうと思えたし、さくさくとした軽い味わいの小説にだってすぐれたものはたくさんあるのだから、もっとじゃんじゃん賞の俎上にあがればいいとも思う。

レオナルド・デカプリオが、アカデミー賞がほしいばっかりに重厚な大作にばかり出演していた時期の損害といったら計り知れないものがあるとは常から思っていることだった。本来なら00年代から10年代にかけて、レオ様主演でロマコメや軽薄なパーティー映画が量産されていたはずなのに。いや、いまからでも遅くはない。中年のためのロマコメでも、ちょづいた中年のパーティー映画でもおねがいしますよレオ様。俺らいつまででも待ってますから……。


そんなわけで、砂原浩太郎さん、山本周五郎賞ご受賞ほんとうにおめでとうございます!


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