第28回島清恋愛文学賞をいただきました
オッス!オラ小説家になって19年目!文学賞というものがどんなものなのかまったく知らずにこれまできたけれど、ついこないだ受賞したから報告するよ!!!
というわけで、第28回島清恋愛文学賞の贈呈式にいってきました。この賞については新聞のインタビューやエッセイで何度か語っていますが、過去の受賞作が好きなものばかりで、ひそかに憧れていた賞だったのでほんとうにうれしいです。最近あまりやりとりをしていなかった編集者まで「うきゃー!うれぴい!」とお祝いのメールをくれたりして、そういうのがいちいちうれしかった。
この賞を知ったのはおそらく井上荒野さんの『潤一』(大好きマジ好きすぎて擦り切れるほどくりかえし読んだ)だったかと思うのですが、恋愛そのものというよりその周辺にあるものを書いた受賞作が多くて、そこがこの賞を推せるポイントでもあります。
何度か主催が変わっているため、そのたびに選考方法が変わっているようですが、現在は選考に金沢学院大学の文学部の学生さんたちがかかわっているようで、そこも推しポイントであります。
わたしもぼんやりとしか把握できていないのですが、どうやら島清文学賞は、各出版社の文芸編集者たちからの推薦を受け付けているらしく、毎年二十作前後の恋愛(のようなものを書いた)小説が集まってくるとか。そこから学生さんたちがまわし読みをして、三作にしぼりこみ、選考委員の先生方が受賞作を決めるようになっているとのこと。
他社の編集者が「わたしも余命一年推しときました!」とあとから教えてくれたので、自社本でなくともかまわないようですが、講談社の担当氏は「当然、担当作に恋愛(のようなもの)小説があればそれを推薦します!」と言っていました。
以前、ある小説を刊行したときに「島清は狙っていきたいです!女性作家の登竜門ですから!」と担当氏が鼻息を荒くしていたこともあり、狙って取れるものなのかと思っていたが、ほかの作家さんからも「担当が島清に自薦してくれた」という話を聞いていたので、ある程度は狙っていけるものなのかもしれない。
ひとつの出版社から一年のうちに恋愛(のような)小説が数冊刊行されていたらそこで激しいバトルロワイヤルがくりひろげられるのか、あるいは「うちからは二冊推薦します!」といったようにそこは臨機応変にいけるのか、詳しいことはわからないけれど、まあいけそうではあるなと思う。
ちなみに最終候補作は非公開なので、作家本人にも知らされません! 選考会の一週間ほど前に担当編集者には連絡がくるんだけど、受賞するまでは作家に知らせちゃいけないことになってるんだって!
そうはいってもこっそり教えてくれればいいじゃん!!と思うのだけど、担当氏は受賞が決まるまでそんな気ぶりをいっさいみせず、通常の業務連絡のみのメールを送ってきていた。もしわたしが同じ立場だったらとても耐えられなかったと思う。
三代目のエリーちゃんが、健ちゃんが三代目に加入することがすでに決まっているのに、本人にはまだ知らされていない状態で二人でラーメン屋に行くことになり、「もうがまんできない、俺言うわ!」とバラしてしまったというエピソードがあるけど、わたしなら絶対そうなってしまいそう。
賞の内情をこんなふうに書いてしまっていいものなのかわからないけれど、前々から知りたかったことなので書いてしまった。だれかに怒られたらすぐ消します。
とにもかくにも、選考に携わってくださったすべての方に感謝します。
贈呈式のあとに、学生さんたちと少しお話する機会があったのだけれど、授業で創作をしているというだけあって、くりだされる質問がどれも実際的で、ひとつひとつにお答えしながら、ああそうか、わたしはこんなふうに小説を書いていたのか、と自分自身の創作法(というほど大したもんじゃないけど)に気づかされるような体験ができた。重ねて感謝いたします。
もうすぐ出る『流れる星をつかまえに』は2019年に高校三年生だった主人公たちがメインで物語を動かしてく小説で、現在大学三年生の彼らとはちょうど同い年になる。コロナ禍のまっただなかに大学へ入学し、これまでにだれも経験してこなかったような困難な大学生活を送ってきた学生さんたちへのエールを込めたつもりです。
金沢学院大学の文学部に何冊か献本したいと思っていま手配しているので、またみんなで回し読みしてみてください。
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