「コンビニエンス・ラブ」発売しました!

新刊が出るときと賞の候補になったときだけ更新するブログと化していてすみません。このところ目まぐるしく毎日がすぎていき、気づいたら長い夏が終わり秋がきていました。山周賞は落選しましたが、現在ふたたび「あわのまにまに」が山風賞の候補になっています。「山と風、つまり嵐ってことじゃん! 山風賞ぜったいほぴい!」と十年ぐらい前、熱心な嵐ファンだったころに騒いでいましたが、その嵐もいまや活動をお休みしてるし事務所までなくなってるし、なんだなんだというかんじでございますね。

とはいえ正味のところ山風賞は文芸の中でも華やかなエンターテイメント大作が受賞しているイメージなので、あまり自分には関係ないかなあとも思っていたのですが、KADOKAWAから刊行した作品だからひいきして候補にぶちこんでもらえたのでしょうか(とかこういうことを書いたら担当氏に怒られるかもしれない)。

なんにせよ文学賞はお祭りなので、候補になったのをきっかけにまた新しい読者の目に触れたり手にとってもらえるようなことになればうれしいかぎりです。落選したところで作品の価値が損なわれるわけではないということを、過去二回の経験で身にしみてよくわかっているので、落選のプロとしてはなんかもう余裕ですらある。




そうしてやっと本題に入るのですが、中編小説「コンビニエンス・ラブ」がU-NEXTから発売中です。「100分で読める」がコンセプトのレーベル【100 min. NOVELLA 】の第三弾として発売されています。新書サイズのかわいらしい本なので(値段も990円とかわいい!)書店で見かけたらレジまで持っていってくださいね。

五人組ダンスボーカルユニットに所属する愛生という男の子が主人公の青春恋愛小説です♪

私自身がこれまでに男性アイドルや男性芸能人、またはそれに類するものを追いかけてきた経験から思うところすべてを詰め込みました。推したい人たちと推されたい人たちがどうやったらしあわせになれるのか真剣に考えながら。だれかを推したことのある人、そのことにどこか後ろめたい気持ちでいる人に読んでもらえたらと思うけれど、そこになんの疑問も抱いていない人にもできれば読んでもらいたい。あとは推される側の人たちにも。

ちょうど一年前のいまごろに書いていた小説で、その当時はボーイズグループ戦国時代といわれてはいたものの、まさかゆるがぬ帝国を築いていたあの事務所がなくなるとは思ってもいませんでした。ボーイズグループにかぎらず、年端もいかない子どもたちを集めて商品化して世に出す、このシステム自体の是非がいよいよ問われるときがきたのかなという気がしています。

オーディション番組などを見ていると、小さなころからレッスンに通っていた子が結局勝ち残っていったりするので、夢があるようでない世界だなと思ったりもする。家庭の経済事情でレッスンに通うことがかなわない子どもは夢を見ることもできないんだろうか、とかね。

この夏、ニューヨークで地下鉄に乗り込んできた黒人の父娘が、車内でダンスパフォーマンスをして小銭を稼いでいるのを見かけた。おそらく娘は父親にダンスを教わったのだろう。年齢のわりにはダンスにキレがなく、もし彼女の父親がすぐれた教師だったらもう少し違っていたんじゃないだろうかとか、彼女自身に適性がないのかもしれないとか、そんなことを冷酷にジャッジしてしまう自分がいた。これこそが「消費」なんだと思う。




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